冬が来れば、犬にも寒さ対策が必要です。
寒くなると、しまっておいた毛布を出して愛犬が温かく過ごせるように防寒対策を始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、効果的な犬の寒さ対策の方法について確認したい飼い主、犬を飼い始めて初めて冬を迎える飼い主や、寒さが苦手なトイプードルやチワワなど小型犬の寒さ対策に悩む飼い主向けに、初心者でもすぐに取り掛かれる犬の寒さ対策や、冬の過ごし方について詳しく解説します。
室内犬の夜の寒さ対策についても触れていますので、是非参考に。
寒冷地にお住まいの方以外でも、参考になる冬の過ごし方を犬の寒さ対策リストとしてまとめていますので、最後までご笑覧いただければと思います。
1. 犬の寒さを判断する
冬でも元気に走り回る犬は、寒さを感じさせませんよね。
だからといって、その犬が必ずしも寒さに強いとはいえません。
気温が低くなれば、犬も寒さに耐えますので、飼い主は、犬が寒さに耐えている時に出すサインを見逃さないようにしなければなりません。
犬の寒さ対策は、犬が寒いと感じたときの仕草を知ることから始まります。
・犬が寒さを感じた時の仕草
では、犬は、寒いと感じたときにどのような仕草を見せるのでしょうか。
一般的に、犬は、寒くなると水を飲む量が減るといいます。とはいえ、全ての犬が同様のサインを示すとも限りませんし、水分補給量が徐々に減っていけば見過ごしてしまうこともありますよね。
そのため、複合的に見るのが正しい判断になります。
外飼いしている犬の場合、背中を丸めてうずくまっていたら、寒さが原因かもしれません。
ですが、室内飼いの犬が普通に休むときには、からだを丸めて寝ることはごく自然ですし、寒いと感じているときも、からだを丸めてうずくまります。
丸くなって休むのは、寒いときだけではありませんので、立ち上がったときに震えていたりするなど、外的な要因や他の仕草を複合的にみて判断しましょう。
もし、寒さを感じていると思えば、犬を家の中に入れ体力を回復させることが基本的な犬の寒さ対策です。
散歩中に寒くなれば、嫌がります。落ち着きがなくなり、家に帰りたがる仕草を見せたり、途中、寒さをしのげるような場所に隠れたがる仕草を見せます。
犬が寒いときの仕草は人と似ているところがありますので、このような仕草がみられたら、散歩を中断し家に戻るようにしましょう。
・犬の寒さが進行したときの症状
寒がっている症状に気づかずにいると、徐々に筋肉が硬くなり、息使いが遅くなるので要注意。
気温が低いときは、長時間外で過ごすのを避けることが犬の寒さ対策のひとつです。
ご自身がコートで寒さをしのぐような気温では、犬も同様に寒いかも、と気遣うことがリスク回避になりますよ。
犬の感じる寒さのレベルは犬種によっても様々ですが、トイプードルやチワワなど小型犬は寒さが苦手。
マルチーズやシーズー、パグ、ボストンテリアのように、鼻の低い犬種も寒さが苦手です。
鼻が低い犬は、外部と器官までの長さが短く、寒い空気を急激にからだに取り込まないように呼吸気管が収縮し、息がし難くなるといわれています。
犬の寒さ対策は、散歩時も深く関係しますので、長時間寒い場所にいて息が苦しくなっていないか、表情などをよく観察しながら散歩してくださいね。
厳しい冬を乗り切るための犬の防寒対策は様々ですが、まずは、初心者でも簡単に始められる寒さ対策をすすめてみましょう。
2. 犬の寒さ対策 – 室内生活編
まずは、1日のほとんどの時間を過ごすファミリールームの寒さ対策から説明します。
2-1. 湿度対策
乾燥した冬の気候は、肌がかさつきやすく、犬の場合、肉球にしもやけ、あかぎれが起きやすい環境です。
冬の時期、犬の寒さ対策として実施すべきなのが湿度対策。犬にとって冬は、からだ全体が乾燥肌になりやすく、室内の湿度対策が必要です。
温度や湿度が低ければ、外から暖かい部屋に戻っても乾燥肌状態が続きます。
加湿器を上手に使って湿気をキープしましょう。
犬だけではなく、飼い主も乾燥肌やかゆみを抑えることができますので、愛犬のために揃える加湿器は、ご自身の乾燥肌対策にもなりますよ。
特に犬の肌(表皮)の厚さは人の半分以下。人以上に敏感な乾燥肌をかきむしれば皮膚炎を引き起こすこともあります。
乾燥しているかな?と思ったら、収納庫から早めに加湿器をだして部屋を加湿して過ごすようにしましょう。
2-2. 肉球対策
寒い中、長時間外の乾燥した冷たい風に当たり続けると、しもやけになったり、あかぎれを起こすため、私たちはハンドクリームで肌荒れ対策をしますよね。
愛犬も肌荒れ防止のために同様のお手入れが必要です。
濡れた道を散歩したときには、乾いたタオルで足を拭きますが、乾燥時期にそのままの状態では、肉球もかさついてしまいます。
たとえ濡れてなくても外は乾燥し、犬の肉球から水分が失われるため寒さ対策と同時に保湿対策は必須。放置するればカサカサになり、悪化すればひび割れを起こすこともあります。
冬の犬の肌荒れ対策は寒さ対策です。
肉球が乾燥肌になっていることに気づいたら、ご自身がハンドクリームを塗るついでに塗ってあげましょう。
同じタイミングなら一気に済ませることができますし、忘れないですよね。
もちろん使用するのは、舐めても無毒な犬用の乾燥防止クリームですよ。
フローリングの部屋では、乾燥した肉球がツルツルして滑りやすくなるため、軟膏を塗ることで滑り止め対策にもなります。
2-3. シャンプー対策
犬は、冬の時期にニオイ対策と称して、頻繁にシャンプーされると、からだを乾燥から守る皮脂を奪い過ぎることになりかねません。
犬の表皮に分泌する皮脂は、日々の新陳代謝で出る老廃物と言われます。
とはいえ、皮脂は、薄い表皮から からだにばい菌が侵入するのをブロックしたり、乾燥肌を防ぐ保湿の役割も果たしており、単なる老廃物とも言えません。
そのため、皮脂を取り過ぎると、肌のカサカサが一層進行します。
乾燥肌はかゆみの原因になり、かゆみから肌を掻きむしれば、皮膚炎になることも。
夏の時期に比較すると、活動しない冬は皮脂の代謝量も減ります。
もし、においが気にならないようなら、冬の間はシャンプー頻度を減らし保湿すると、犬にとっては寒さ対策、乾燥肌対策になります。
犬の冬の時期のシャンプーについて気になる場合は、かかりつけの獣医師さんに相談してみるのもひとつの方法。
スキンコンディションを熟知した獣医師さんなら、場合によっては、愛犬に合った薬用シャンプーを紹介してもらえるかもしれません。
シャンプーする際は、短時間で済ませるように段取りをしっかりと。
シャンプーした後は速やかにドライ!
洗面所で乾かす場合は、暖房を入れて犬の体温が奪われないような寒さ対策を実施しましょう。
2-4. トリミング時の対策
犬を飼い始めて、さらにおうち時間が増えたことで、トリミングテーブル や初心者向けのシザーセット を買って本格的に自宅で愛犬のヘアカットに挑戦する飼い主さんもたくさんいます。
トリミングに慣れてない飼い主は、自分の肌間隔で長さを判断したり、カットしながら、知らない間に毛を切り過ぎることがあります。
ご自身がしている場合は、毛を短くし過ぎないように注意してくださいね。
2-5. 室内の衣対策
寒さに慣れてない犬なら室内でもセーターを着用することで防寒対策になります。
犬を飼っていれば、冬でもエアコンは低めの温度設定にしますよね。私たちが服で寒さを調整するように犬の寒さ対策としてセーターがおすすめ。
最近は、犬用の部屋着も増えていますよね。
部屋着は、小型犬だけではなく大型犬にとっても快適に過ごすことができる寒さ対策。万が一、トリミングで毛を短くし過ぎた場合も、セーターの着用は間違いなく犬の防寒対策です!
2-6. 室温対策
寒さの厳しい冬は、犬にとっても温度が一定にコントロールされた室内環境が過ごすしやすい条件。とはいえ、部屋を暖かくすることではありません。
一般的には、犬にとって、人が快適な室温は暑すぎるといわれますが、犬は、体毛によって夏の暑さをしのぎ、冬は寒さをしのぐという役割があるように快適に過ごす仕組みが体に備わっていますので、ちょうどいい温度も幅があると思って大丈夫です。
さらに、犬はより快適な場所を自分で見つけますので、部屋は暖め過ぎないことが冬の過ごし方対策。寒さを感じたら居心地の良い場所を自分で見つけて移動します。
もし、パンティング(ハアハア)し始めたら温度をさげるなど室内温度を調整しましょう。
室内で特に大切なロケーションがありますよね。
犬が休んだり寝床として使うケージに寒さ対策は欠かせません。続いて、犬のケージ内部とケージ周りの寒さ対策について解説します。
2-7. 犬ケージ 内部の寒さ対策
室内犬にとっても冬の夜の寒さ対策は不可欠。
毛布の活用は、犬のケージの寒さ対策として、手っ取り早く開始できる寒さ対策ですよね。
犬に噛み癖がなければ(←ここ重要。笑)ケージやクレートの中にクッションやブランケットを敷いてあたたかくする方法が定番。
室内犬にとっても昼夜に関わらず寒さ対策にになり、快適に休憩することができます。
毛布でベッドメーキングする場合は、毛布の端に厚みをもたせ、背中も温まるような縁を作るとからだ全体があたたまれますよね。
さらに、毛布の下に中に使い捨てカイロを入れたり、ミニサイズのホットカーペットを使うのも手。毛布全体があたたまり、より快適になります。
カイロを仕込むときは、温まり過ぎないように毛布の厚みを調整した後に使うようにしてくださいね。
ケージとクレートを2種類持っていれば、クレートの方が密閉性が高く、犬の寝床として使えば冬の防寒対策として◎。
エアコンが切れた室内で過ごす犬も、夜間は、寒さが厳しくなるので、クレートはドーム型の寝床として使うと良いかもしれません。
保温性の高いクレートは、パグやビーグルの様に短毛な犬、トイプードルやマルチーズといった寒さが苦手な犬や老犬の寝床として活用すれば、すぐれた寒さ対策になります。
とはいえ、噛み癖のある犬では毛布が破壊されてしまいます。そのような場合は、昔からの「湯たんぽ 」で犬の寒さ対策を。
容器が硬質素材の湯たんぽなら、齧られてもカバーの破損で済みますし、安全面でも犬に使える一押しの寒さ対策。
併用することで寒い夜もあたたまります。
温度は、お湯の温度と包む毛布で調整。ペット用ならお湯の温度は低めに。カバーやタオルで包んだ後に、ほんわか暖かい湯たんぽにしてあげるのがコツです。
翌朝、冷めた水は、お風呂の足し水や洗濯にどうぞ。
噛み癖の心配がなければ、ヒーターに投資するという選択肢も。それでも夜間の使用は気を付けてくださいね。
2-8. 犬ケージ 周りの寒さ対策
一方、ケージを寝床に使っている飼い主の中には、据え置き型で、床に直接ケージを置いている方もいるかもしれません。
ところが、床は室内で最も温度が低い場所。ケージの底は、手入れし易いようにスチールやプラスチック製が多く、ケージが床に置かれていると、床の冷気がそのまま伝わります。
寒さ対策としての回避方法は、床からケージを浮かせてあげること。
床の上にカーペットを敷いて、その上にケージを乗せるだけでもケージ底面の温度が変わってきますよ。この寒さ対策はクレートの場合も使えますので、試してみてくださいね。
冷気対策という意味では、ケージカバーを使用するのも室内犬ケージの夜の寒さ対策。
冬の夜は、部屋の温度が下がると、一緒にケージの温度も下がります。
とはいえ、ケージの周りをカバーすることで、部屋の冷気が入りにくくなり、体温で空気があたたまった状態になります。
犬が早めに就寝するようなら、カバーを落としてよりリラックスできる環境にすれば、室内犬がケージで過ごす場合の夜の寒さ対策、安眠対策になりますよ。
ケージカバーの選び方は、「犬用ケージカバー夏と冬おすすめ13選|必要性や選び方も解説!」の記事に詳しく説明しましたので、良かったら参考にしてください。
3. 犬の寒さ対策 – 食事編
一見繋がってないようでも、食事は犬の寒さ対策として重要項目。ここからは、冬の寒い時期の食事のあり方について、室内飼いのケースと、外飼いのケースに分けて説明します。
3-1. カロリー対策
気温が低く寒い日が続くと、犬は脂肪を燃焼し、からだを温める必要があります。
運動不足を解消するため、日々外で運動を心掛けている飼い主は、犬の食事量を増やしたり、おやつを多めにして、燃焼したエネルギーを補い体力維持を図る必要があります。
ドッグフードのガイドラインにも、運動量が多めの犬には量を多めに給餌することが書かれていますよね。
とはいえ、これは、冬も日課として散歩に出る犬の場合。家に閉じこもれば、おのずと運動量は少なくなります。
運動しない犬は、摂取したエネルギーが蓄積されたままになってしまうため、太らないように食べ過ぎには注意しなければなりません。
エネルギーの摂取量が消費量を上回る場合、太る原因になりますので、愛犬の運動量に合わせ食事量を増減させるなどカロリー消費に見合った食事を心掛けましょう。
体力維持は犬の寒さ対策のひとつですので、是非覚えておいてくださいね。
一方で、柴犬などは外で飼うケースも多いですよね。外飼いのケースはどうでしょうか。
冬は、体力をつけるためにしっかり食べさせることを推奨しています。
外飼いの場合は、体温維持のためにエネルギーを燃焼させる必要がありますので、より運動量を増やし、食事をしっかりとって体力をつけなければなりません。
ところで、冬の時期、犬の体力の消費には、遺伝的な要素があるということをご存じですか?
「犬は、日が短くなると寒さが到来することをからだで感じ、からだの遺伝子がカロリーの消費を押さえように機能する」というものです。「How Much Should You Feed Your Dog in Fall and Winter?」より。)獣医師のKen Tudor がpetmd.comの記事中で述べています。
記事の真ん中あたりに書かれていますので、読んでみてはいかがでしょうか。
寒さに耐えるためには、熱量が必要になることをからだが認識しカロリー消費を調整するのは、犬の遺伝子による寒さ対策、というわけですね。
犬が、脂肪をからだに蓄えることで厳しい冬を乗り切るような遺伝構造になっているのであれば、犬を外で飼っている場合は、摂取した栄養が直ぐにエネルギーになるような食事にした方が良いということです。
また、からだに脂肪を蓄える必要があるので、冬は多少高脂肪の食事でも良いかもしれません。
カロリー消費が多いと体重が減り、体力も落ちますので、中型犬、大型犬を普段外で過ごさせている飼い主は気を付けてくださいね。
周囲をシートなどで隙間なくカバーし、冷たい風を遮断したり、周りが縁で囲われた深めのクッションをセットしたり、ベッドに湯たんぽを置いてあげると居心地が変わりますので、効果的な寒さ対策です。
3-2. 水分補給対策
乾燥した冬は、のどが乾きやすくなっているだけではなく、からだが水分を欲しがっています。
散歩中はいうまでもなく、散歩から戻ったらぬるめの新鮮な水を汲んであげましょう。
また、部屋にはいつでも水分補給ができるようにウォーターボウルには、たっぷり水を入れておきましょう。
4. 犬の寒さ対策 – 散歩編
4-1. 外出時間の対策
雪が降らなくても雨は冷たくなる冬、リードを持つ手も堪えますよね。
冬の散歩は、飼い主も寒さで耐えながら出かけることがあるように、犬にとっても寒さがつらく感じることもあります。
暑さが厳しい夏の時期は、犬の暑さ対策として早朝や日が暮れてからの散歩が適しているといわれますが、冬は、陽が射す日中に散歩するのが犬の寒さ対策。
天気予報を確認し、気温が穏やかになる時間を見計らってお出かけするようにしましょう。
4-2. 外出時の足の保護対策
夏の時期、肉球のやけどを気にして時々ブーツを履いた犬を見かけるようになりましたが、まだ少数派。
冬も、裸足のまま散歩する飼い主がほとんどだと思います。
ブーツの良さは理解していても、犬が嫌がったりデザインがコーデしにくいために利用してない飼い主がほとんど。
犬は、体温調節をする所が限られており、そのひとつが足の裏。肉球は温度をダイレクトにからだに伝えます。
路面が冷たいと、温度を感じ取る肉球が急激に冷やされ、足が冷えることで寒さをより敏感に感じるため、足を着けたがりません。
高級品ではなくても一足でも犬のブーツを持っていると、何かと重宝します。
肉球は、凍傷になりやすいといわれる耳、尻尾以上に注意しなければならない場所だからこそ、冬のブーツは犬の寒さ対策の有効な手段のひとつ。
4-3. 外出時の防寒対策
犬は、そもそも自分のヘアで寒さから身を守っています。
とはいえ、トイプードルのような冬の厳しい寒さに耐えがたい犬は、対策も必要。ボストンテリアなどの短毛犬や、鼻の低い犬なども寒さに弱いことは、お伝えしました。
お住いの地域が10度以下に下がるようなら、ジャケットを羽織ることを強くおすすめします。
特に、大型犬と比較し、小型犬は体重グラム当たりの表面積が大きく体温が下がりやすいため、寒さが苦手。
ジャケットを身に付けたりやブーツを履いてからだを覆うことが、有効な犬の防寒対策です。
言うまでもなく、寒さに弱い犬種をはじめ、子犬やシニア犬などは体温調節が上手に出来ず、寒さに敏感に反応します。
犬の散歩では冬の寒さ対策をしっかりおこなって外出しましょう。
4-4. フレキシブルなスケジュール調整
冬場にストレスを溜めることなく、運動不足を解消するためには、散歩も不可欠。
一方、長時間の散歩は、低体温症の要因にもなりかねません。
短時間ルートに変更したり、暖かい日には普段より長めに外出するなど運動量を確保し、愛犬の寒さ対策を実施しましょう。
飼い主も愛犬も暖かいコーデで歩く姿を見ると、こちらまで暖かくなります。
5. まとめ
「この子は今寒いかな?」と思ったら犬の寒さ対策。室内で過ごすとき、外に出かけるとき、それぞれ周りの状況を適切に判断して暖かい環境を作ってあげてくださいね。
寒さ対策の基本は、1.防寒対策と2.乾燥対策。そして、3.寒さに負けないからだづくりです。是非、実践してみてください。