飼い猫の健康を考えれば食事は非常に大切な要素。となると、食事を提供する猫食器の選択もまた重要ですよね。猫の食器を選ぶ際には、目的に合わせた適切な選択が大切です。
この記事では、最初に猫用食器、広く使われているフードボウルの基本を説明します。
素材の選択肢やサイズ、深さ、口の形の重要性について掘り下げ、基本的な選び方について詳しく解説します。
次に、特定の目的に合わせたフードボウルの選び方について焦点を当てます。例えば、術後のカラー装着時に必要な食器や、元気な子猫に最適な選択肢、シニア猫・老猫にとって食べやすい食器、さらに食事中の早食いを防ぐためのオプションについて説明します。
猫にとって大切な食事時間をストレスなく楽しむために、最適な猫用フードボウルを選ぶ際の参考にしてくださいね。
1. 猫用フードボウルの役割
猫用フードボウルは、猫を飼い始めたら欠かせないアイテム。
食器の役割は単純に猫に食事を提供するときの入れ物というだけでなく、猫の健康や快適さにも直接影響を与えます。以下は、猫用フードボウルの主な役割です。
1-1. 食事の提供と快適な環境
いうまでもなく、猫用フードボウルは、毎日の食事を提供する道具。最も基本的な役割ですよね。
さらに、食事の時間は猫とのコミュニケーションの大切な瞬間。猫と遊ぶ時間がない飼い主さんにとっても、食器を介しながら猫に話しかけ愛情を表現する手段として利用できます。
そんな大切な役割を果たすアイテムだからこそ、食器には適切なサイズ、形状が重要になります。
フードボウルは、毎日使用することで猫も自分の食器であることを認識します。食器はフードを食べようとしたときに食べやすい形状でなければなりません。
1-2. 衛生的な食事環境の提供
猫用フードボウルは、衛生的な食事環境を維持する役割があります。
食事を提供するための食器は、基本的に食事毎に洗いますよね。
完全室内飼い猫は、ノラ猫さんが虫を食べたり、地域猫が餌をもらったりする環境とは異なり、いつも清潔なフードボウルが給餌用に使用され、飼い主さんの衛生管理のもと適切に保管されたフードが提供されます。
毎回清潔な食器が使われることで健康をサポートし、土やほこりと一緒に摂取してしまう外猫とは異なり菌の繁殖を防いでいるといえます。
1-3. 満足度の向上
猫によっては、特定のボウルの形状やデザインに対して選り好みするケースも。
食べにくい食器は、猫のストレス要因です。適切な食器選びは、規則正しい食生活を送る大切なポイントです。
後ほど解説しますが、早食い防止食器もその形状からストレスになる猫もいますので、使用する際は注視しなければなりません。
また、新聞紙の上や床など地べたに直接餌を置くことは、食事で無理な姿勢を強いることになりますので、高さのある食器を使ってくださいね。
猫にとって適切な容器やお皿を利用することで、食事が有意義になるだけではなく、精神的な安定にも役立ちます。
猫用フードボウルは、単なる食事の器ではなく、愛猫の健康と幸福に関わる重要なアイテムであることがお判りいただけたと思います。
続いて、本題である適切な猫の食器について、素材、サイズ、深さ、口の形について詳しく掘り下げていきます。
2. 最適な飼い猫用食器とは
猫食器の選択において、素材、サイズ、深さ、口の形などが重要な要素です。それぞれの要素について詳しく説明しますので、年齢や種類、猫の大きさに合わせた選び方を検討しましょう。
2-1. 素材の選択
私たちが通常購入するフードボウルには、いくつかの素材があります。
先ず、ステンレススチール。ステンレススチールのボウルは耐久性があり、錆びにくく、洗浄が容易です。
「キャットフードなどは匂いで食べさせる」といわれるように臭いがきついフードが多いのが一般的ですが、洗えば臭いが残りにくく清潔な状態を維持しやすいのが特徴です。
普通使いではキズも付きにくいためおすすめの素材です。
セラミックも一般的ですよね。セラミック製・陶器の食器は見た目が美しく、重みがあるため安定感があります。ただし、割れやすいので取り扱いには注意が必要です。
セラミックボウルは猫にとって滑りにくい表面を持つものが良い選択です。
もう一つの代表的な素材がプラスチックです。プラスチックボウルは安価なものが多く軽量で取り扱いが簡単ですが、傷がつきやすいので、ばい菌が繁殖しやすいという欠点もあります。
傷はフードが付着したままになることが多く、ニオイ残りの原因にもなります。また、一部の猫はプラスチックの臭いに敏感であるため、素材に気をつける必要があります。
2-2. サイズの選択
フードボウルのサイズはさほど重要ではないと考えている飼い主さんもいますが、やはり検討すべき事項です。
例えば、子猫用食器。子猫はからだが小さく、食事の際に首を伸ばすことが難しいことがあります。
子猫は、お皿が広すぎたり脚が高すぎたりすると、からだが小さいため食事の時に首を延ばさなければなりません。
子猫用が浅めで小さいボウルがおすすめなのは、食事しようとしたときに餌に届きやすくなるため、からだのサイズに合った小さなフードボウルが最適な選択と言えるのです。
一方、成猫の場合、高さがあり、多少大きめでも標準的なサイズのボウルで問題ありません。お皿が十分広がっていれば、食事が楽になります。
好みの問題かもしれませんが、猫が行儀よく食べる姿を見たい場合は、高さのあるフードボウルがおすすめ。前足を立て正座?して食べる姿を見ることができますよ。笑。
大型の成猫の場合は、ダイナミックに食事をしますので大きく深さのある器が適しています。
子猫のときに利用していた浅いお皿を成猫になった大型猫が使用すると、一回当たりのフード量も多く、食器の周りを散らかしてしまいます。
低い食器を大型猫が使用している場合は、餌台を併用することをおすすめします。
食事中、頭が食道よりも低い位置になっていると、食べ物がスムーズに運ばれにくく、特に丸のみする猫は戻してしまうこともありますので要注意です。
2-3. フードボウル形状
ウェットフードは、重みがあるため食べる間も一か所にとどまります。一方、粒状のドライフードは軽いので、鼻でフードを押しのけながら食べます。
ドライフードを与える飼い主さんには、こぼさずに食べてもらうために少し深めのフードボウルがおすすめです。
フードボウルは少し手前に傾いている、あるいは底の形状が少し湾曲している方が食べ物にアクセスしやすくなりおすすめです。
猫の年齢、種類、大きさに応じて適切な素材、サイズ、深さ、口の形を考慮してボウルを選ぶことで、猫は快適に食事を楽しむことができ、健康をサポートできます。
また、前章でもお話しした通り、猫の食器も人と同じように食事毎にきれいに洗い、清潔に保つことも忘れないようしてくださいね。
続いて、特定の目的に合わせたフードボウルの選び方について説明します。
3. 術後エリザベスカラー装着時の食器選び
治療後や手術後は、施術のあとを舐めないようにカラーを装着するのが一般的です。いつもとは異なりエリザベスカラー装着時は、食べやすい食器を選ぶなど猫が快適に食事をするためにも特別な配慮が不可欠。治療後、術後のカラー装着時の食器選びに関して解説します。
3-1. エリザベスカラー装着時の食器選び
猫は、カラーがはめられると首の動きが制限されてしまいます。カラーがフードボウルに干渉しないようにしなければなりません。カラーを付けた猫には次のようなフードボウルが適しています。
・浅めのフードボウル
フードボウルがお皿のように浅い場合、カラーがボウルの壁に当たりにくいため、餌に簡単にアクセスできる形状、猫はストレスなく食事をすることができます。難点は、縁が低く食べ物をこぼしやすいこと。視界も遮られますのでカラーを付けている間は、注意してみてあげましょう。
・広めのフードボウル
エリザベスカラーが食器に当たらないように、ワイドで底面が広いボウルを選ぶのもおすすめ。これにより、猫が食事をする際に動きが制約されにくくなります。
・滑り止め付きフードボウル
カラーを装着した猫は、視界も悪く普段よりバランスをとるのが難しい場合があります。万が一、エリザベスカラーがお皿に当たってもお皿が滑らないように滑り止めを敷いてあげるのも解決策の一つです。また、滑り止め付きのボウルなら、猫が食事中にボウルに当たっても動かず、安定して食事をすることができます。
3-2. カラー装着時の給餌注意点
食器を置く高さも考慮が必要です。エリザベスカラーがお皿にぶつからないように、食器は猫が食事を摂りやすい高さに配置しましょう。
低すぎる位置にあるフードボウルはカラーが食事の邪魔になる可能性があります。高すぎても首の動きが制限された猫は食事がしにくいので、カラーとの干渉を最小限に抑えるように工夫されていることが大切です。
とはいえ、すれすれじゃなくても大丈夫です。笑。
術後カラー装着時の猫は、通常よりもストレスを感じています。
食事エリアまではエリザベスカラーを付けたまま楽に通れるように周囲を片付け、静かで安心感のある場所で食事できる環境にしましょう。
カラー装着時は、猫の食事を見守るようにし、適切に食べているかを確認します。
食事が上手くできないのは、環境や食器もありますが、混ぜ薬の影響も考えられますので異常があれば獣医に相談しましょう。
4.子猫用食器の選び方
子猫の時期は半年から1年と言われます。短いながらも成長段階の子猫には、その特性に合わせたフードボウルを選ぶことが重要です。
以下、子猫向けフードボウルの選び方に関するポイントです。
4-1. 仕様
子猫用食器でおすすめなのは、小さく浅めにできた食器が適しています。
子猫はバランス感覚が未発達、成猫よりも小さく浅めのフードボウルの方が食べ物にアクセスしやすく食事が楽になります。
子猫は活発で、食事中にボウルを汚す点も注意。
清潔さを保つために洗浄が容易な形状・素材でできた食器が便利です。
4-2. 素材
ボウルの素材も重要です。子猫とはいえプラスチック製食器は軽いため動いてしまうことが難点。プラスチック素材の食器は、滑り止めを付けたり、滑り止めを敷いて使用しましょう。
また、子猫用のプラスチック食器でキズが付きやすいのは、猫が原因ではなく飼い主さんの取り扱いに問題があることも。
プラスチック製の猫食器は柔らかいスポンジで洗い、キズを付けないようにしましょう。
猫用食器でも陶器やステンレス製は、丈夫で傷もつきにくくおすすめです。菌の付着を防ぐことができる安全な素材で作られたボウルは、子猫の健康にもプラスです。
また、給餌に関するアドバイスでは、子猫は、キャットフードを出された分だけ全部食べるのが一般的。とはいえ、体調や好みの変化でフードを残すことがあります。ボウルに残った食べ物は、全部取り除ようにし、常に新しい餌を提供しましょう。
子猫向けのフードボウルを選ぶ際は、まず、子猫の安全と快適さを最優先にしてくださいね。
5. 老猫・シニア猫向け食器の選び方
飼い主さんの中には、猫を迎えたときに猫食器を一度だけ購入してずっと使用している方もいるかもしれません。
一番良いのは、工夫しながら愛着のある食器を使い続けることですが、中には高齢猫になり使いにくいかな?と感じる飼い主さんもいるかと思います。
この章では、今までのフードボウルからシニア猫向けの食べやすい食器に取り換えたいと思っている飼い主さんに老猫やシニア猫に適した猫ご飯の皿のポイントを解説します。
5-1. 老猫の特徴
老猫やシニア猫の器をは関節や筋肉の問題を抱えているケースが多く見受けられます。足腰が弱った猫は姿勢が定まらないケースもあり、お皿の周りをうろつくことも。そのような高齢猫でも安心して食事ができる環境に整えてあげることが大切です。
老猫・シニア猫が正しい姿勢で食事をすることは、食物の消化や吸収も助け、食後の不快感を軽減します。
5-2. 老猫の食べやすい食器、環境とは
高齢猫にとって食事をする際に最も大切なのが食器の高さです。
シニア猫には高さが調節可能な餌皿がおすすめですが、猫の餌皿で高さが調整できるものはなかなか見つかりません。
通常、食器の高さを調整するには、1. 餌台の高さを調節、2. 手前にステップを置いて餌台を低くする、3. 食器の角度を調整して餌にアクセスしやすくする、といった方法で老猫が楽に食事できる環境を作ることになります。
シニア猫には低めの猫皿がおすすめですが、前章でもお伝えしたように、首をなるべく曲げずに座って自然に餌に届くようにしてあげましょう。老猫には、餌が常に一か所に集まるように平底の形状は平らなものより少し湾曲している猫皿がおすすめです。猫は、ひげが当たると食べにくくなりますので、食器は顔を埋めることができるサイズで準備しましょう。
6. 猫の早食い防止オプション
猫の飼い主さんの中には愛猫の早食いを心配されている方も多いのではないでしょうか。
早食いには、消化不良や嘔吐を招き、過食しやすく肥満になりやすいといった弊害があります。
早食い防止にはいくつかの方法がありますが、ここでは、早食い防止の猫食器について解説します。
6-1. 早食い防止皿の活用
もっとも一般的な早食い防止対策です。猫用のお皿に突起がついており、あえて食べにくい構造にしています。とはいえ、犬用でよく見かける「ラグ」の上にこぼすタイプではありませんので、汚すこともなく衛生的。
とはいえ、突起が付いた食器なので洗いにくさが難点です。
6-2. 早食い防止グッズの活用
既存の食器を継続して使いたい飼い主さんにおすすめするのが、後付けで愛猫の早食いを阻止するグッズ。
吸盤付きのパーツをお皿に置いて食べにくくするタイプや、小ぶりで、突起付きのお皿を既存の食器にかぶせて使用するタイプがあります。
6-3. DIYで作成、早食い防止グッズ活用
お皿を使用せず自作する早食い防止グッズを利用している飼い主さんもいます。
最も一般的なのが、ペットボトルを改造するタイプですよね。
ペットボトルに数か所穴をあけて、猫が転がしながら数粒ずつ食するタイプなので、早食い防止になります。毎食後に洗浄することを考えると複数個作るのがおすすめです。
6-4. 注意点
早食い防止に効果的な3つのオプションですが、猫によっては、ストレスを感じることもあります。
導入時には猫の反応を観察し、慣れるまでサポートすることが重要です。
不快さからトイレの回数が減ることもありますので、もし体調の変化に気が付いたら早食い防止グッズは一旦中止し、少量ずつ回数を増やして与えるなど、工夫してみてくださいね。
7. まとめ
猫の食器は、猫の健康や食事習慣に影響を与える重要なアイテムです。
この記事では、普段使いのフードボウルから、特別なニーズに合わせた食器まで、適切な食器の選び方を理解しました。
猫の健康をサポートするためにも、猫の食事の満足度向上にも適切な食器選びが大切です。猫の食事環境を最適化するために、ぜひこのガイドを参考にしてくださいね。