犬の無駄吠えは、最も悩ましい問題です。
一戸建てだけではなく、マンションなど集合住宅のペットオーナーにとって犬の無駄吠えは近隣トラブルの要因。飼い主は、無駄吠え防止対策が不可欠です。
この記事では、犬が無駄吠えする理由について知り、どのように無駄吠えを抑えていくのが適切なのか、犬の無駄吠えに悩む飼い主がすぐに取り組むことができる飼育方法・しつけ方について説明しています。
是非最後まで読んで、愛犬の無駄吠え対策に役立ててくださいね。
まず初めに、犬が吠える理由について解説します。
1. 犬が吠える理由とは
犬が無駄吠えする理由には、いろいろな要因があります。
犬が吠えるのは、ボディーランゲージと同様コミュニケーションのひとつ。無駄吠えと感じる鳴き声すべてが私たちに伝えたいことがあるからなのです。
犬が無駄吠えしやすいケース
・身の危険を感じたとき
・見知らぬ人や犬が自分のテリトリーに入ってきたとき
・欲求不満やストレスを溜めているとき
・一緒にいるのに無視されていると感じるとき
・興奮したとき
・突然耳慣れない音を聞いたとき
・留守番で一人にさせられるとき
犬が吠えているときは、興奮してアドレナリンが出ていてエネルギーを発散している状態。
犬は、興奮状態にあると、伝えようとする気持ちが強くなり無駄吠えになります。
犬が吠えるのは大きく2つのケースから。
身内に対しては、遊んでほしい、散歩や食事など「何かを要求する」場合に吠え、見知らぬ人や犬に対しては、相手に対して「警戒・警告する」時に吠えます。
ここでは、無駄吠えが起こりやすい具体的な7つの事例とそれぞれの無駄吠えの防止方法について説明します。
2. 犬が無駄吠えしやすい場面
2-1. 窓の外に向かって無駄吠えする
テリトリー意識が強い犬は、自分の領地に他人が侵入したと考え、追い払うつもりで躍起になっているのがこのケース。
身内以外の人が行き来するのを見た犬は、ストレスを溜めた状態になり、吠えるようになります。
解決方法
犬が部屋から外を見て吠える場合、外の景色をブロックするのが効果的。
ファミリールームなど、普段の生活する場所が道路に面している場所では、カーテンドレープやブラインドで外の様子が分からないようにブロックしましょう。
同時に、自分のテリトリーに見知らぬ人が侵入したと思わせないように、気配を消せる場所に犬のケージを窓際から離して設置してみてください。
犬が安心して休むことができれば無駄吠えも防止されます。
特に、一人暮らしや共働きなどで日中家を空ける場合、犬が留守番中に無駄吠えしないためには、カーテンを閉めて出かけることを強くおすすめします。
ドレープを用いると部屋が暗くなりますが、真っ暗にならなければ、悪いことではありません。
外の気配を消してストレスから解放されると、犬の無駄吠えを抑えることができますよ。
一方、日中家にいる飼い主の場合、ずっとカーテンを閉めたままでは生活できませんよね。
ドレープで無駄吠えが防止できたならレースのカーテンやレストランやカフェで実施しているように、犬の目の高さ位置に幅広のプライバシーフィルムを貼る方法、衝立のようなスクリーンを設置する方法も検討できます。
レースのカーテンも併用しているなら、すぐに次のステップとして試すことができますね。
プライバシーフィルムは、断熱、遮光も兼ねて目隠し用として準備する方にピッタリかもしれません。
人や車が自分のテリトリーに侵入しても危険ではないということが認識できれば、犬は無駄吠えしなくなります。
まずは、ドレープカーテンから開始し、無駄吠えが防止できるかを見てくださいね。
犬が外を見ても無駄吠えがなくなるまで(慣れるまで)、朝の通勤・通学の時間はカーテンでがっちりブロックしてみてください。
2-2. 部屋で過ごしているときに無駄吠えする
飼い主が部屋で過ごしている間、犬をかまうことが出来ないケースがありますよね。
からだを動かしていると無駄吠えされないのに、本を読んだり、テレビを見たり、じっとしていると無駄吠えされます。笑。
犬は、相手にされないと感じるとき、飼い主の意思とは無関係に無駄吠えすることがあります。
解決方法
言うまでもなく、遊んであげるのがベストソリューション。
ですが、どうしても手が離せず集中したいことがある場合は、コング などにおやつを詰めおもちゃで遊ばせておく方法もあります。
「手が離せないから、これで遊んでね」と飼い主が愛犬に理解してもらう方法です。
おやつはボールは、どの犬も夢中になり、無駄吠えを抑えるのにぴったりのツール。
取り出すのに神経を集中するので、無視されていたことは忘れるかも。
無駄吠えは収まり、しばらくは安心です。
2-3. 散歩の時間になると無駄吠えする
いつもの散歩の時間が近づくと鳴くケースも。結構正確に吠え始めるから驚きですよね。笑。
犬は、明らかに「散歩に行こう」と吠えているわけです。欲求からくる典型的な無駄吠えです。
解決方法
このようなケースでは、毎日不規則なルールで散歩させることで、犬の無駄吠えを防止することができます。
普段、家にいる飼い主なら、餌やりの時間を決めないように日々フレキシブルに散歩に出かけることが、愛犬の無駄吠え防止に役立ちます。
一方、犬を飼っている共働きや一人暮らしの飼い主であれば、日中不在になるので、ある程度身支度を整えたら散歩に行くようにし、十分疲れさせることが無駄吠えを防止する方法です。
朝から部屋にいる休日に無駄吠えが続く場合、まずは、待つように言い聞かせたうえで無視すること。
愛犬が、吠えても状況が変わらないことを学習すれば、無駄吠え防止になります。
さらに、犬の無駄吠えが止まったタイミングでは、忘れずに「おやつ」をあげてみみてください。
おやつは、犬の無駄吠え防止のしつけにも利用できるのです。是非試してみてください。
2-4. 散歩中、人や犬が近づくと無駄吠えする
社会化トレーニングが終了しておらず、社会化が未熟な犬によくある行動です。
見知らぬ人や犬が自分のテリトリーに入り込んでいると感じると追い払うように吠え続けます。
窓の外を通り過ぎるケースではカーテンやブラインドで様子をブロックすることが無駄吠えの解決策と言いましたが、散歩中は、そうはいきませんよね。
解決方法
見知らぬ人が自分にとって危ない存在ではないことを社会化トレーニングしながら学ぶのも散歩の目的。
まず、飼い主自身が社会化トレーニングをしているということを意識しながら外で出会う人や散歩する犬猫たち、騒音、自然環境に慣れさせる必要があります。
外の環境に慣れるまでは、周りに気を遣いながら散歩するように心がけて。
社会化のトレーニング中、人や犬とすれ違う時は、犬に身の危険を感じさせないように、なるべく遠くを歩くようにします。
狭い道ですれ違う場合は、吠えないように視界から人や犬が消える向きで抱え、がっちりガード。
通り過ぎてから下に降ろすようにしてください。
抱えて無駄吠えがやまないときもじっと我慢。
子犬の時に、散歩しながら見知らぬ人や犬に対する免疫を付けるのが無駄吠えを防止するための社会化訓練です。
見知らぬ人や犬とすれ違う時に吠えなくなったら、そのタイミングでご褒美を与えること。
吠えないことでおやつをもらえることを学習すると我慢するようになり、外の世界に徐々に慣れていきながら社会化が進展します。
社会化は、犬は無駄吠えを止め、黙って待つことがご褒美になることを学ぶのがゴールです。
とはいえ、犬の場合は、他人の犬が吠えたときに吠えかえすことも。吠えない位置まで離れてみましょう。
十分な距離が保てない道幅なら、子犬の場合、飼い主が抱えて通り過ぎるまで安心させることが大切。
自分のテリトリー内で、自分に危害が加わることがないことを社会化トレーニングをしながら学びます。
アイコンタクトの練習をしているのであれば、意識を飼い主に向け、おやつを与え、ほかの犬が通り過ぎるのを待ちましょう。
2-5. 耳慣れない音に無駄吠えする
散歩でも普段部屋で生活しても聞き慣れない音がたくさんあります。
静かな部屋にいると、外で、子供の遊び声やサイレン、ゴミ収集車が鳴らす音楽、花火の音などが聞こえても、音源が分からずに動揺することがあります。
犬は動揺すると音に警戒するため無駄吠えの原因になります。
解決方法
窓が空いていれば、窓を閉めるなどして外から入ってくる音を遮断しましょう。
犬に留守番させるときは、窓を閉めてお出かけすることが、基本。
それでも気になる時には、音を打ち消すような音を利用するのも手です。
同じ強さの多様な音が混じり合った複雑な音は、ホワイトノイズと呼ばれ、雑音を打ち消す働きがあります。
「サー」っという雨音や、ラジオの「シャー」といった音は、高ぶる神経を落ち着かせる効果やリラックス効果があります。
ホワイトノイズマシンは睡眠導入効果もあり赤ちゃんを寝かしつけるのに使用している方が多くいます。
耳慣れない音に対するストレス軽減効果もあることから、犬の無駄吠え防止にも効き目があるのです。
ただ、ホワイトノイズは特定の音を意味するものではないので、音によって犬の反応も様々。
虫の音や鳥のさえずりなども入っていることがありますが、犬を落ち着かせるには逆効果になるケースもあるので、ノイズを試すときには、まず在宅中にどの音がリラックスできるかを確かめてから使うようにしてくださいね。
2-6. 外出するときに無駄吠えする
飼い主が外出するときに犬が無駄吠えするケースでは、一人で長時間留守番したことがありストレスを経験した犬に多いようです。
犬は、信頼している人に、気持ち的にも距離的にもそばにいてほしいと思うことが多く、自分の面倒を見てくれない人が消えると不安を感じて無駄吠えになります。
外出後も情緒不安定になり無駄吠えが続くこともあります。
解決方法
共働きや一人暮らしのオーナーなど毎日同じような時間に家を出る場合は、絶対的に慣れさせる必要があります。
仕事に出かける前に犬とボール遊びをしたり散歩に出かけて、十分運動させることができれば、精神的、肉体的にも疲れます。犬が疲れて休んでいる間にパッと出かけるようにしましょう。
慣れるまでの間、飼い主は、散歩から戻って出かけるまでの間、外出することを悟られないように日々行動パターンを替えるようにしてみてください。
一例ですが、散歩から戻ったらケージにもどす癖をつけ、飼い主が食事するときに、犬も朝食の時間に。餌を食べた犬は、心が落ち着いた状態になりやすいです。
犬が心身ともに疲れていれば、留守番している間はもちろん、留守番前から休憩モードに入りますよ。
知らない間に飼い主がいなくなれば引き留める術がなくなり、無駄吠えが収まるほか、そのままぐっすり寝てもらえれば、安心して外出することができますよね。
飼い主不在の不安からくる無駄吠えには、リラックス効果のあるの首輪を着けたり、興奮を抑える成分が入ったサプリを与えることで、徐々に犬の習性を改善する方法もあります。
海外では、利用する飼い主が多いです。
電気や音で驚かせて無駄吠え防止をしつける首輪ではないので、愛犬の無駄吠えを自然に近い状態で押さえたい飼い主向きです。
とはいえ、これらのアイテムは、生活環境によって効果に差があります。
効果てき面のケースもありますが、医薬品ではありませんので期待度はほどほどに物は試しで使ってみてははいかがでしょうか。
日本では、残念ながら輸入代理店がないためか、英語の説明書です。
与え方:約25 lbs以下で1日一粒、25 lbs~75slbsで1日2粒、75 lbs以上で1日3粒。最初は半分の量から試して徐々に標準量に増やす。午前・午後に分けてもよい、ということが書かれていますね。犬専用です。
猫用はフェリウェイというアイテムがあちこちで購入できることを思うとちょっと残念。。(こちらは、家猫生活に馴染めない保護猫や、リラックスしてトイレができない室内猫などにおすすめです)
外出時の無駄吠え防止の方法をいくつか説明しました。
犬が留守番している間の無駄吠えが心配の飼い主は、「安心して犬を留守番させたい共働きや一人暮らしの方がすぐに実践できる対策とは」で、留守番のさせ方を詳しく説明しましたので、興味があれば、併せて読んでみてください。
ひとつの処方だけで効果が見られない場合は、複合的な方法で試してくださいね。
一人でいることに不安を感じなくなれば上手に留守番できるようになります。
手を尽くしても無駄吠えが止まらないときに…。超音波を使ってみてください。
楽天で購入された方の口コミをみると、かなり効果がありそうですね。
2-7. 夜寝るときになると無駄吠えする
夜に犬が無駄吠えすると、飼い主だけではなくご近所の迷惑にもなるためできるだけ早く対処したいもの。
まだ遊ぶエネルギーの残った犬が、夜、ファミリールームに残されると、かまってほしいという要求から無駄吠えが続いてしまいます。
特にハウストレーニングが終わってない犬の場合、閉じ込められているという意識もありますので、無駄吠えにつながります。
解決方法
夜寝るときになると決まって夜鳴きするのは、かまってほしいという欲求から。
解決方法は、無視続けることです。
どんなに鳴いてもかまってもらえないことが分かれば、夜鳴きは徐々に収まるようになりますので、すぐに実行しましょう。
1日や2日程度で無駄吠えがすぐに防止できるものではありません。
ですが、毎日続けていると鳴き止む時間も短くなり、夜の無駄吠えが防止ようになりますよ。
一番やってはいけないことが、途中で根負けして様子を見に行ってしまうこと。
鳴いて飼い主がそばに来てくれれば犬は安心しますが、一方で犬は、鳴けば来てくれることを学習することになります。
一旦夜鳴きが止まっても、いなくなるとまた吠え始めるので、無駄吠え防止の効果は薄れます。負けないで!
一番の解決策は、心身ともに疲れて飼い主と一緒に休むことなので、就寝の30分ぐらい前には散歩や運動で犬が疲れているのが理想です。
また、子犬を飼い始めてハウストレーニングを始める飼い主の中には、小型のキャスター付きのケージや、クレートを利用している方もいると思います。
移動が容易なら、普段ファミリールームに置いているケージを飼い主の寝室に移動して、夜鳴きが変わるかどうかも見ましょう。
飼い主の近くで一緒に就寝すると、落ち着くことが多いため、犬の無駄吠え防止につながります。
同じ部屋で寝ると、犬に何かあったときにすぐに気づくことができますので、一石二鳥です。
先ほど紹介したストレス軽減首輪が役に立つこともありますよ
3. 犬のしつけ教室で無駄吠え対策
子犬を迎えたばかりの飼い主さんでも、日常生活では、留守がちな共働きや一人暮らしの場合、日ごろからしつけに十分な時間が取れないケースもありますよね。
3-1. 犬しつけ教室の役割
そのような飼い主さんの選択肢として「犬の保育園」などに預けることで飼い主さんに代わってしつけてもらう方法もあります。
しつけ教室には、飼い主さんと一緒に様々な犬が通っています。室内飼いで育つ犬は、犬の社会化が遅れがちです。
しつけ教室は、他人や他の犬と接する機会を通じて、人と生活するうえでのルールを学んだり、犬社会におけるルールを学びます。
見知らぬ人や犬が近くに来ても信頼感が芽生えれば、ストレスを感じることもなく無駄吠えも防げるということですね。
どうしても無駄吠えが治らない最後の手段は防音ルームでしょうか。リノベーションを考えているなら二重サッシにするなどで防寒対策にもなります。
補助金が出たり政府の後押しで工務店が安く施工するケースもありますので、しらべてみてはいかがでしょうか。
3-2. オンラインしつけ教室とは
実際の社会化についてはやはり、ほかの犬や他人とのふれあいが重要ですが、最近はオンラインでも愛犬のしつけに相談できる環境になってきましたね。
オンラインしつけクラスのメリットは、何といっても「送り迎え不要」という点。
忙しい飼い主さんにとっては、送迎時間なし、しかも自宅で噛み癖、無駄吠えなどのカウンセリングとしつけの方法が相談できるのは、とっても便利。
無駄吠え防止に利用している方も大勢いらっしゃるようですので、気になったら、まずはお悩み相談を受けてみては?
4. まとめ
私たち人にとって犬の鳴き声が無駄吠えに感じても、犬にとっては無駄吠えではなくコミュニケーション手段。
対策も説明したようにひとつではありませんし、場合によっては複合的に対処する必要があることを説明しました。
無駄吠えが治るまでは時間がかかりますので、出来るところから取り組んでみてくださいね。