ペットショップや保護センターから迎えた猫とは違い、育て方が全く異なるのが野良猫。元野良猫でトイレのしつけとは無縁の猫を家で飼う時に検討すべき内容についてお話しします。
野良猫から家猫 になるためのトイレトレーニング方法は、ペットショップやブリーダー、保護センターから迎えた猫とは異なるアプローチが必要。
この記事では、野良猫にトイレをしつけたい飼い主や、保護する前に野良猫から家猫 にする知識を事前に習得したい方向けに、知るべき基本8項目と、迎え入れるための準備について解説します。
1. 野良猫から家猫 へのファーストステップ
連れて帰った外猫を家猫に するためには、飼い主と同じ住環境で生活するためのルールを学ばなければなりません。
野良猫から家猫 へのファーストステップが猫へのトイレのしつけです。
猫は、排せつした後、においを隠すために砂を掛けますが、これは、野生生活を送っていた時代から身に付けた護身術の名残り。
家猫でもトイレの後は砂を掛けますよね。
野良猫は、コンクリートのような硬いところではなく、土や砂など柔らかく排せつ物を隠しやすい場所を選んでトイレの場所に選びます。
野良猫から家猫 にする場合、トイレのしつけで最も大切なのは、単に砂場としてトイレを置くことではないのです。
野良猫に猫トイレをしつける場合、外暮らしに近い環境を整えること。


人に育てられた経験のない生まれながらの野良猫や、飼い主からはぐれ外での暮らしが長い野良猫にとって、猫トイレは未知のもの。
飼われたことがある子猫を保護しても、前の飼い主との生活環境も異なりますので、スムーズに受け入れられるようにしていく必要があります。
野良猫トイレのしつけは、まず、里親になる人との信頼関係から築いていく必要があるため、難易度が高いトイレトレーニングです。
2. 野良子猫のトイレトレーニングとケージの役割
猫を最初に飼い始める時、ほとんどの人がケージを活用します。
保護センターから子猫を迎える場合はケージを準備することが条件の場合さえあるほど。
ケージは、飼い主が猫の面倒を見ることができない外出時や、就寝時に、いたずらや誤飲誤食を防止する役割もあります。
自由に生きてきた野良猫生活から家猫生活に順応させるためには、ケージは不可欠。
家の中で放し飼いにしてしまうと、柔らかい感触の布団や洋服の上など、気持ちよく排せつできるところでおしっこやウンチをしかねません。
ご自身の住環境をるためにも、猫から目を離すときには必ずケージの中で過ごさせる必要があります。
トイレのしつけ中は、離乳前の幼猫、子猫、成猫を問わず、どのステージの野良猫であってもケージを活用することで、勝手な行動を防ぎ元野良猫にありがちな粗相のリスクを減らします。
野良猫から家猫 として暮らすうえで、猫にトイレをしつけることは簡単ではありません。
これから育てる野良猫が幼猫/子猫の場合と成猫の場合ではトイレのしつけ方にも違いがあるので、それぞれのケースに分けトイレトレーニング方法について解説します。
3. 離乳前の幼い野良猫に必要な トイレのしつけ
生後間もない幼猫は、親猫がおしりの周りを舐めて排せつを促します。

もし、自力で排せつできないような生後間もない猫を連れ帰った場合、里親になる人が親猫に代わって排せつできるように介添えする必要があります。
まず、下にペット用おしっこシーツを敷き(まだ準備してなければ、ビニールの上に古新聞やキッチンペーパーなどを厚めに敷き)、お湯で湿らせた暖かいティッシュやガーゼで、おしり付近をやさしくマッサージしましょう。
砂掛けができない月齢時期に本格的な猫トイレは使用しませんが、2~3週間後には普通にトイレが必要になります。
野良猫を飼うことを決めたら、トイレも揃えしつけの準備をしましょう。
もし、直ぐに仮のトイレを準備しなければならないときは、家にプラスチック製の書類受けや使っていない洗面器のようなものがあれば、役に立つかもしれません。


言うまでもありませんが、わざわざこれらを購入するなら、いずれ必要になる猫トイレを買う方が賢明です。
最初は砂を敷かずにおしっこシートを敷いた「仮設の」猫トイレの中でおしりを温めマッサージし、猫がおしっこするのを待ちましょう。
勝手に動き回ってトイレ以外でしないように、見張るようにしてくださいね。笑。
さて、自分で排せつができるようになれば、猫砂を敷いた猫トイレを使わせる時期。
本格的に猫トイレをしつけるときも飼い主の介添えで、使い方を教えましょう。
離乳前の野良猫ならミルクにも気を遣ってくださいね。もちろん、ミルクは、猫専用に成分調整済みのものを!
4. 幼猫や子猫の介助による トイレのしつけ
4-1. トイレを教える前の準備
・子猫が跨げる縁の低い(少なくとも入り口の縁が低い)トイレを準備
野良猫のトイレしつけはオープンタイプの猫トイレを準備
・トイレに砂を敷く
野良猫にトイレをしつけるときの砂は、自然に近い方が猫(特に成猫)は迷いません
4-2. トイレを教える時の介助
・自力で排せつできるようになった時期が来たらトイレに連れて行く
トイレの場所、猫砂の感触を教える
・出入口を教えるように入り口の近くに降ろす
近くできちんとトイレと認識できるか。自分から入らなければ抱えてトイレに入れる
・前足に手を添えて砂掛けの仕草をし、手ほどきする
実際に前足で砂掛けすることを実践させて、排せつ前にトイレを認識させる
最初に説明したとおり、猫は砂掛けができる柔らかい地面を見つけて排せつします。


トイレの場所、感触を認識させることで、家の中の排せつ場所を意識するようになり、トイレ以外での粗相リスクを減らすことができます。
トイレまで連れて行くと、感覚的にトイレを認識できるカンの良い野良猫もいます。その場合は、そのまま見守れば大丈夫です。
なお、猫のトイレしつけ方については「子猫のトイレのしつけはトイレサインの見分け方から。トレーニング方法を徹底解説」に概要を説明しました。
元野良猫のトイレのしつけに関する共通項もありますので、良かったら参考にしてくださいね。
幼い時から、トイレの介助や毛づくろいを手伝いながらしつければ、飼い主が猫にタッチをする際の抵抗感をやわらげ、早く信頼関係も築くことができますよ。
5. 野良猫の性格や生活環境の違いを考慮
今まで外で人目を避けて生活してきた野良猫たち。家猫として生活するとなると全くの別世界になります。中には見られている(見張られた)環境で生活することにリラックスできない猫もいるかもしれません。
トイレについても同じことが言えるでしょう。野良猫はそれぞれ性格や元の生活環境が異なるため、初期段階のトイレトレーニングの仕方も調整が必要です。
怖がりな猫は、新しい環境やトイレ自体に警戒心を抱きやすいため、まずは静かで落ち着ける場所にトイレを設置し、安心感を与えることが大切です。一方、最初から好奇心旺盛な猫もいれば、新しい環境に慣れてくるにしたがって自分のより居心地の良い場所を求めてパトロールするようになります。
そのように好奇心が強い元野良猫は、新しいトイレに興味を示しやすい一方で、他の物事に気を取られやすくトイレの場所は一度決めたら移動を控えることが重要です。
いずれにしても猫の性格や過去の生活環境を理解しながらトイレトレーニングを実施することが必要です。
元野良猫にトイレのしつけをするにあたり大切なことは、嗅覚、視覚、触覚でトイレを認識させること。
嗅覚: 一度、おしっこ、ウンチをした場所を臭いでトイレと認識します。
視覚: トイレの場所を感覚的に覚え、見て確認します。
触覚: トイレに入り、柔らかい砂場であることを触って確認します。
野良猫から家猫 にするために、トイレのしつけは最も重要です。
特に、野良ちゃんが子猫の場合、トイレのしつけは、離れていても直ぐに認識できるように、さらに子猫は、嗅覚、視覚、触覚をめぐらせトイレであることを認識しやすくなるオープンタープのトイレがおすすめです。


6.トイレのタイミングを知る
飼い主が食事を与えた後や遊んであげた後は、トイレをもよおすことが多いので、よく子猫を観察してくださいね。
幼猫から飼い始めた離乳食の時も同じです。
そわそわしてきたらトイレの砂の上に乗せ、しばらく様子を見ます。
遊んでいる時も、そわそわしだしてくる猫に気づいたら、中のトイレに連れて行くようにします。ケージの中にいるときも同様に。
7. 元野良猫 トイレ の しつけ は無香料の猫砂で
もともと土の臭いで育った猫たち。
猫は、食事の際、嗅覚を働かせて自分の食べ物かどうかを確認するように、トイレの確認も怠りません。
人工的な石けんの臭いやお茶のにおいなどが付いた猫砂の場合、トイレに入ることを躊躇する神経質な猫もいることを知っておきましょう。

ウッドチップのように自然なにおいでも、強すぎるにおいは猫によって好き嫌いがでます。ですのでトイレのしつけ中は、無臭・無香料の猫砂をおすすめします。
匂い付きの砂使うのは、猫トイレのしつけ後でも大丈夫。
まずは、「猫トイレ」を認識させることを優先してください。
猫砂の粒の大きさは、猫によっても好みが分かれます。
一般論ですが、小さい粒が子猫にとって砂掛けしやすいので、まずは小粒の砂から試してみるのをおすすめします。
時々、育った土地の砂を混ぜることで、においを思い出させてトイレと認識させる方法を説く方もいるようです。
確かに、匂いの面では受け入れやすい環境になりますが、外の土は乾燥したときに埃っぽくなり、砂掛けした際、部屋に舞い上がりやすくなります。
害虫がいないとも限らず、飼い主側から見て衛生的とは言えませんので、おすすめできません。
8. 猫トイレに敷く猫砂の量と好ましい種類
8-1. 猫砂の量
今まで、土や砂の上で用を足してきた外猫にとって、新しいタイプの砂に慣れるには時間がかかります。さらに、好きなように掘ってウンチを隠してきた猫にとって、猫トイレの砂は限られた場所の限られた量でしかありません。
一般的には、ペレットタイプの猫砂の量は、少なくともすのこから5cmの深さが必要。砂掛けで十分な量が確保でき、トイレの底に爪が届かないレベルの深さです。
砂場は深い方が猫は安心します。とはいえ、過剰になると砂も飛びやすく掃除も大変です。無駄に猫砂を消費するのは経済的とはいえませんよね。
初期段階では6~8cm程度の深さになるように調整すれば十分です。
8-2. 猫砂の種類
野良猫にとっては、自然の土に近いタイプが好ましいです。大きく分けて猫砂には次のような種類があります。
・おがくずを固めたペレット系 >> おしっこで崩れて粉になるタイプ
・古紙を再利用して作られた紙系 >> おしっこで固まるタイプ
・鉱物の砂系 >> おしっこで固まるタイプ
・鉱物でも固まらないシリカゲル系 >> おしっこでも固まらず、受け皿でおしっこをキャッチするタイプ
それぞれの猫砂にはメリットデメリットはありますが、野良猫のトイレとっレーニングには自然の土に最も似ている鉱物系のサラサラ猫砂がおすすめ、粒も細かく、子猫にとって扱いやすい砂です。
なお、固まる猫砂を選んだ場合は、常に6~8cmキープすることを意識し、固まって取り除いた砂の量を追加するように心がけましょう。


トイレの砂の量は、少なすぎると不安になり使いたがりませんし、汚れていても使わなくなりますので、猫のトイレのしつけにも支障をきたしてしまいますよね。
猫トイレの掃除の仕方については、「猫トイレやおしっこの臭い対策は5段階!レベル別解決策とすぐできる消臭術」に詳しく説明しましたのでそちらを参考にしつつ、使い勝手の良い砂の量をキープするように心がけてください。
9. 野良猫を家猫 にするときに準備しておきたいアイテム
最後に野良猫を迎える際に準備しておきたいアイテムをリストアップしましたので参考にしていただければと思います。
9-1. ケージ
ケージは、完全室内飼いを始める猫の里親になる方は準備しておきたいアイテム。前章でも説明しましたが、いたずらの防止、怪我の防止、そして粗相の心配払拭に、必須のアイテムです。
保護猫の譲渡会でもケージを譲渡する条件にする場合がほとんどです。飼い主さんが目を離すとき時間の行動制限になりますので、大きいのが無理で省スペースのものを準備しましょう。
9-2. 猫トイレ
中には、人間用のトイレトレーニングを実施して、猫に人と共通のトイレを使わせる飼い主もいますが、普通の猫トイレ以上にしつけの難易度が上がります。
通常の猫トイレにも機能的なトイレが多くありますので、この記事で解説した点や飼い主の生活スタイルを踏まえて決めるのがよいと思います。4
9-3. 爪とぎボード・爪とぎポール
猫を買ったら家具は無傷で終わることはありません。とはいえ、家具、カーペットその他インテリアなどの被害を抑えるためには爪とぎボードとポールの両方を準備しておくことをお勧めします。
悲。外暮らしの長い野良猫は樹の根っこや地面で爪とぎをしていますが、家猫 になればそうはいきません。

15-4. キャリーバッグ


もしもの時に急に必要になるのがキャリーバッグです。
さらに、野良猫を家猫に する時には、獣医さんの健診とワクチン接種は必須項目。
野良猫を連れて来る前に!!準備しましょう。
9-5. 首輪・迷子札
「備えあれば憂いなし」いくら室内で飼っていても、万が一の脱走に備えておく必要があります。

戻ってこなければ、そのまま野良猫生活に逆戻りしてしまいます。悲。
外の世界を知った野良猫を飼い始めるのであれば、リスク大!首輪をしていれば、飼い猫であることがわかります。
迷子札 は飼い主に連絡を取ることができる手段。必需品です。
なお、探し方については、「猫脱走防止に効果的な8つの方法とは?| 脱走した猫の探し方は?」に詳しく説明しています。ご参考まで。
そのほか、野良猫を家猫に するときに、準備しておいた方がよいと思われるものとしてキャットタワーやフード/ 給水ボウルなどもありますが、慌てて準備しなくても大丈夫。
給水ボウルやフードボウルは、とりあえず使用してない食器があれば、それを猫用にすればよい(ひっくり返り難い安定感のある深皿がおすすめ)です。
キャットタワーは、いわば「Nice-to-have 」(もちろんあったほうがいいけど)のアイテム。段差を上手に使って上下移動できる環境を作って上げられれば、要らないかもしれないです。なんなら後から揃えても問題ないです。
猫用のふかふかベッドも猫が気に入ってくれれば、そこがお休み処になり、抜け毛があちこちに散乱しなくので「掃除も楽になる」メリットもあります。(掃除が不要にはなる、という意味ではありませんよ!)
初めて猫を迎えるのに必ず必要になるものを揃えたりすれば、出費もかさみますので、まずは着古した洋服やタオル、毛布などが代用して、計画的に揃えるのがよいかと...。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
野良猫から家猫 へコンバージョン(転換)させるためには、飼い主の生活環境に馴染む必要があります。指定した場所で用を足すトイレの習慣はその一つ。
行動範囲も家の中だけに限られるなど制約も増えます。自由を謳歌していた野良猫を家猫として室内に入れると刺激が少なくなりますので、猫がストレスを溜めないように、猫との触れ合う時間を大切にし、退屈しない気遣いが必要になることを忘れないでくださいね。