自宅の庭をドッグランにしたいと思う飼い主は大勢います。たしかに、犬を飼ったらリードフリーで遊ぶドッグランは憧れですよね。
とはいえ、ご自身で自宅の庭をドッグランに手作りするのは初めての飼い主がほとんど。気を付けなければならないこともたくさんあります。
この記事は、庭にドッグランを作る構想があるけれど、どんなことに注意すべきか、何を揃えれば安心して使えるか悩んでいる飼い主向けに、計画段階でドッグランに取り入れるべき点について解説しました。
是非最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
1. ドッグランに必要なものとは
ドッグランといえば、リードフリーで自由に犬を運動させる場所です。
庭をドッグランにして自由に愛犬を運動させるためには、安心・安全を確保することが最優先。庭の広さに関わらず、自宅をドッグランとして使うための設備について考えましょう。
庭をドッグランにするときに絶対外せないものから、使い勝手を向上させるものまで優先度の高いものから順番に記載しましたので、ガーデンドッグラン企画の参考にしてくださいね。
- 必要不可欠な設備
柵・フェンス - 最優先で揃えるべき設備
水飲み場、洗い場 - 使い勝手を向上にかかせない設備
穴掘り場
トイレエリア - 充実度アップにおすすめの設備
日陰
運動具(アジリティーキット)
これを機会に自宅ドッグランの作り方も一緒に覚えて今後の設計に役立ててください。
1-1. ドッグラン用フェンス
広い庭ならいろいろなものを設置したりすることができます。ですが、柵やフェンスは広い狭いにかかわらず、庭をドッグランにする場合でも必要不可欠です。
私有地とはいえ、リードなしで遊べば不意に飛び出す可能性も。
人に怪我をさせれば、賠償問題になりかねず、車にぶつかれば愛犬の命の危険も生じます。柵は、庭で遊ぶ犬を外と隔離し脱走防止に不可欠な設備です。
となれば、隙間のある垣根では不十分。錠付きの扉で完全なケージ状態にすること。
さらに、飼い主が家側に陣取り出入口をブロックして遊べば、誤って家に飛び込まれることを防ぐことができます。
・ドッグランフェンスの高さ
ではドッグランに使用するためのフェンスの高さはどれぐらい必要でしょうか。
ドッグランは自由に走り回れるフィールド。助走すれば跳躍力もアップします。愛犬が脱走しないためには、小型犬でも90cm~100cmを目安に揃えたほうが良いでしょう。
一方、大型犬やボーダーコリーのような卓越した運動能力の犬種は、脚力が違います。脱走のリスクを下げるには、高さが最低でも1.5mぐらいの柵を設置したいところです。
さらに瞬発力・運動能力のすぐれた犬向けのドッグランを庭に作るのであれば、細長でいいので敷地の直線距離で25m~(って理想論かもしれませんが)あればいいですよね。
・ドッグランの柵・フェンスの強度
万が一、犬が脱走した場合、人にぶつかってけがをさせれば飼い主の責任を問われますし、車に衝突したら愛犬に命の危険が伴います。
ドッグランに使うフェンスは高さだけではなく強度も検討事項のひとつです。
大型犬の場合は、ぶつかったときの衝撃に耐えられるように、ドッグランのフェンスはより頑丈なものに。
簡単に抜けるような簡易的なものではなく、しっかり設置できるタイプのフェンスが安全です。
DIYでフェンスを折衷することが不安な場合は、外構工事の会社にフェンスの設置をお願いしてみるのもひとつの方法です。
イライラしやすく吠えやすい犬を飼っている場合、ドッグランのフェンスは、外の様子を遮断し、気が散らないように目隠しフェンスが設置すると周りを気にすることなく遊べますよ。
1-2. 水飲み場
犬をリードフリーで遊ばせるようになると、動きが活発になります。
自由に動けるとよりからだが温まるので、新鮮な水を与えて体温を調整できるような設備、水飲み場をドッグランに作ると非常に役立ちます。
給水設備は、犬を家に入れる際、汚れた足やからだを洗うために使えるだけでなく、夏は、シャワーにもなり、プール準備する際の給水用としても活用できます。
自宅ドッグランにきちんとした水のみ場を設置することが難しい場合は、少し手間ですが、花壇用の給水口に洗面器を置いて対応する方法もあります。
一方で、給水口が全くない場合、キッチンやお風呂から延長ホースを使って毎回犬の世話をすることになるますよね?
毎回出し入れするとなると想像以上の労力になります。
もし、柵の設置を業者に依頼するなら簡単な給水栓の設置費用を見積もってみることをおすすめします。
1-3. 穴掘り場や砂場
犬の祖先は狼と言われますが、犬が、まだ野生で暮らしていた時代から穴を掘る習性があったといわれます。
穴掘りは、地中から漂う獲物のわずかなにおいを頼りに猟をした当時の習性とも、取った獲物を隠すためともいわれますが、暑さが苦手な犬種にとっては、土の中で温まったからだを冷やすために穴を掘るといわれています。
特にテリア系の犬は、穴掘りを好む場合が多く、狩猟助手になるペットとして飼われるようになってその習性が強まりました。
熱さが苦手なハスキー犬は、からだを地面の涼しいところで冷やす習性が残っているといわれます。
菜園を守る砂場
したがって、砂場は狭い庭をドッグランにする場合でも犬が本能を活かすことができる場所です。
併設された園芸スペースのような柔らかい地面は、犬にとって格好の穴掘り場所。
リードフリーで庭に放す場合は、飼い主が常に監視していることが基本です。
とはいえ、気づかないうちに、菜園を掘りかえされたら折角育っている野菜が無駄になってしまうことあります。
犬が自由に穴掘りできる場所としてドッグランの一部に砂場を設置すれば菜園の被害を抑える手段にもなるのです。
庭を簡易的なフェンスで囲ったドッグランでは、杭の場所が掘り返されると、グラつきや転倒の原因になります。掘っても良い場所、犬が掘りやすいような砂場を作ってあげることで柵を守れますので、砂場は想像以上に飼い主にとってプラスです。
1-4. トイレエリア
散歩に行く前にトイレを済ませるように、庭のドッグランで遊ぶ前にトイレの習慣をつけておきたいところ。犬は遊んでいると突然トイレに行きたくなることがあります。
狭い庭なら排せつするサインを見抜いて飼い主が抱え、室内のトイレに急行することも不可能ではありません。
とはいえ、トイレのトレーニングが終わらないまま庭をドッグラン代わりに使うケースや飼い主自身がトイレサインを見抜けない状態で庭で遊べば、なすがままに排せつしてしまうリスクもでますよね。
庭の一部にトイレエリアを作ってあげると、庭をパトロールしたときにも使えますよね。
もちろん、飼い主として最初のしつけは、飼い始めてすぐのペットシーツでのトイレ癖です。
ドッグランのトイレはいわば2番目の選択肢。
庭に愛犬用のトイレを設ければ、トレーニング中慌てなくても済みますし、家のトイレで用を足さなくても庭でトイレを済ませた後散歩にお出かけする、といったルーティーンも可能になります。
もちろん、きちんとトイレで用を足してくれれば、花壇に植えた花がアンモニアで枯れたりすることもなくなりますよね。
1-5. 日陰スペース
給水設備のとことで話した通り、犬は運動するとすぐに体温が上がります。
これは、発汗する機能が発達してないため。
飼い主が軒下で休む間、犬を広いドッグランで運動させていると、犬の体温上昇について忘れてしまうこともあります。
夏場は、熱中症対策のためにも日陰スペースが不可欠。
ひさしや木陰のあるドッグランは理想です。
狭い庭をドッグランとして使う際、日陰を作ることがスペース的に難しい場合は、軒下を休憩場所として活用しましょう。
ただし、庭への出入口が南側の場合は、軒下も日陰になりません。
方角的に日陰ができにくいドッグランでは、犬をいったん家に入れる、もしくは庭に簡易的な庇を作ることをおすすめします。
1-6. アジリティーキット
狭い庭でも小型犬ならドッグランに転用可能です!
庭にアジリティーキットを置くことで、狭い庭もより本格的なドッグランに早変わりします。
・自宅で楽しめるアジリティーキットとは
自宅のドッグランでも簡単に設置できるアジリティーキットには、どのようなものがあるでしょうか。
フェンスを設置した後に、未使用の余ったフェンスが残っていれば、使わない手はありません。
囲いのフェンスに平行にフェンスを設置し、犬一頭分の幅で細長い小径を作ってみてはいかがでしょうか。
狭いところを通りたがる犬は、間を通りたがるので、パトロール気分を味わえますよ。
自宅に設置するのにおすすめなアジリティーキットが、ジャンプバー。
犬のジャンプ力や助走の長さによって高さを調整できますので、狭い庭を本格的なドッグランにすることができます。
その他、庭にすこし余裕が必要ですがシーソーもおすすめのアジリティー遊具です。
上り降りだけではなく、不安定な動きが愛犬をちょっとしたアドベンチャー気分にさせることができますよ。
・アジリティーキット採用時の注意点
アジリティー遊具を設置するときにも気を付けたい点が、手入れのし易さ。
トンネルは、楽しめる遊具ですが、雨が降ると中に水が溜まりやすく、庭に設置すると内部が汚れたときの手入れも大変ですよね。
自宅の庭をドッグランにするときのアジリティーキットは、使い終わってすぐにしまえること、常設器具の場合は水を流して簡単にきれいにできること、拭いて汚れをすぐに落とせること、など、収納や手入れのし易さを考えるといつもきれいに、安全に使えますよ。
2. 自宅ドッグランで気をつけることとは
前章では、庭をドッグランにするときに検討すべき設備について説明しましたが、気を付ける点もあります。
片手落ちにならないように説明しますので、ドッグランを作るときの参考にしてくださいね。
2-1. 除草剤や殺虫剤の始末。
除草剤や殺虫剤の後始末は読めば当たり前のこと。ですが、気づかずにそのままになってしまいがちなのが、家庭菜園をしている飼い主さんです。
すぐに対処できるように庭の隅や菜園の隣に置き去りにしていないか、もう一度確認してくださいね。
天然芝を育成させる肥料も要注意です。
2-2. 毒性のある植物を把握
庭をドッグランにする全飼い主が注意することとして、毒性植物リストの確認があります。
意外な植物も毒性のある仲間に分類されていることがあります。
リストをみても判断がつかない疑わしい植物は、一旦取り除いて。。
問題ないことが確認できたら戻すようにすれば絶対安心!
「ペットに危険な植物」で検索すれば、いろんなウェブサイトで細かく解説されています。
2-3. ノミ、マダニ退治
念には念を。庭をドッグパークに改造するときには実施したいマダニ退治。
特に近くに藪がある場合や雑草が生い茂っている場合、ノミやマダニの棲息率が高くなるので、笑、まず周りをきれいに除草してからのマダニ退治。毒性が強いの業者にお願いするのが無難です。
それから天然芝やウッドチップを敷き詰めるのが正しい順序です。
とはいえ、100%いなくなる保証はないので、マダニ対策は常に怠らず、です。
2-4. フェンス状態の確認
設置したフェンスのつなぎ目などがとがったり、飛び出たりした状態になってないことを確認してくださいね。
外構業者に依頼した場合、完成したら必ず確認しますよね。
ドッグランを自作したときにも、ぐらつかないか、ドアが簡単に開かないか、特に張ったネットに尖ったり壊れたりした部分がないか触診するなど、最終点検を忘れないこと。
3. ドッグランの地面について
ドッグランにしたときの地面の状態について考えてみましょう。
ドッグランは、犬が怪我をしないように、また足腰に負担がかからないようにクッション性のある仕様にすることが必要です。
とはいえ、庭の地面を土のままドッグランにすると、肉球の間に泥や砂が入り込みやすく、遊んだ後もからだが汚れてクリーニングが大変です!
遊んでも愛犬のからだが汚れにくく、怪我が防止できる柔らかい素材がおすすめです。
自宅のドッグランでよく使われる素材は、天然芝、ウッドチップ、人工芝の3種類。
スッキリして手入れも楽、水はけもよいという理由でタイルを敷くケースも紹介されていますが、タイルはクッション性に劣るため、犬のことを考えると若干ポイントが下がります。(ただし、飼い主さんにとっては、庭の維持管理がしやすく◎です。)
とはいえ、将来的にアジリティーキットを置くことを検討している場合は、制約も出てきますので、ここでは、ドッグランとして庭に敷く天然芝、人工芝、ウッドチップのメリットデメリットについて説明します。スタイルに合わせて検討しましょう。
3-1. 天然芝
天然芝のメリット:
柔らかく安全性が高い。夏でも地面が高温になりにくい。
天然芝のデメリット:
傷みやすいのでメンテナンスが大変。水やり、芝の手入れなど芝の状態を気にする必要がある。
天然芝が向いている庭:
狭い庭をドッグランにする場合、頻繁に遊ぶと同じ場所が繰り返し使われるので、どちらかと言えば、広い庭向きです。日光を取り込みやすい南向きなら理想のドッグランになります。
3-3. ウッドチップ(バークチップ)
ウッドチップのメリット:
手軽に敷き詰めて、経済的。天然素材でありながら、地面に敷くことで雑草が生えにくい(光を通さないので育たない、笑)。
クッション性が高い。サステナブルの点でも優れている。端材利用、土に還るなど。
ウッドチップは、サイズが大中小と揃っていますので、ドッグラン用として庭に敷く場合、飼い犬のサイズに合わせて選べるのも利点です。
ウッドチップのデメリット:
傷みやすい。どんどん土に還るので定期的な補充が必要です。
水はけがよく、通気性の良い土地以外は湿気がこもりカビが生えやすい。
ダンゴムシなど湿気を好む虫にとっては好環境の住み処に。
ウッドチップの向いている庭:
オールラウンドで向いていますが、庭が吹き抜けのようになって風通しのいい庭、水はけのよい庭にはぴったりの素材です。
このように、ドッグランに敷く素材には、メリットやデメリットがあります。周りの住環境やこれからのプランなど総合的に判断して決めてくださいね。
4. ドッグランのメリット
この記事を読んでいる方は、すでに庭をドッグランに作り替えるメリットを理解されている方がほとんどですよね。
近くにドッグランがないので自宅にドッグランにする場合が多いかと思いますが、一方で、自宅の庭をドックランにした方が良い飼い主さんもいます。
自宅をドッグランにしたほうが良い飼い主さんとは?
4-1. 忙しすぎる飼い主
普段から仕事が忙しく、のびのびと遊ばせる時間がない場合。
普段忙しすぎると、週末は平日に出来なかったこと優先でスケジュールしますよね。愛犬の世話は相対的に優先順位が下るようです。悲。
自宅のドッグランなら、生活に追われている飼い主も空き時間に愛犬と一緒に過ごすことができるので、愛犬の運動不足もストレスも解消することができます。
4-2. 愛犬に健康上の問題がある場合
もしも、愛犬に健康上の問題があり、獣医さんから他の犬との接触を避けるように言われている場合は、パブリックのドッグランを使うことができません。
散歩にも気を遣っている飼い主にとって、犬も運動不足に陥りやすいので、狭くても自宅の庭がドッグランとして使えると、運動不足解消に非常に役立ちます。
ちなみに、パブリックのドッグランには貸し切りで使える場所もあります。費用はかかりますが。苦笑。
4-3. 他の犬とコミュニケーションが難しい犬の場合
来客も少なく、散歩も十分経験せずに成犬になった犬の中には、他人に対して拒否感を持つ犬もいます。
ドッグスクール、しつけ教室に通ったり、他のオーナーや犬と触れ合う機会をもったりすることで社会化を身に付けさせることができますが、現状、人見知りする場合や、反対に興奮しやすい犬の場合、自宅のドッグランがや有効です。
4-4. シニア犬のオーナーの場合
犬を飼い始めたらいつかは訪れるシニア時代。
若いときには、活発だった愛犬も、歳を取ると疲れやすくなりますし、ドッグランまでの移動もストレスに感じるようになります。
折角ドッグランに行っても休憩する時間が長いと、飼い主さんも楽しめません。
老犬の場合は、遠くの広々としたドッグランに出かけるよりも身近な自宅のドッグランで適度に休憩をはさみながら運動させるほうが良い場合もありますよ。
5. お金の節約なら断然自宅ドッグラン!
当然ながらパブリックのドッグランを使うには入場料が必要になります。
頻繁にドッグランに通うことになれば、費用もかさみますし、ドッグランが自宅から離れた場所にあれば、車での移動も大変ですよね。
出かければ、ドッグラン以外に余分な出費も出てしまいます。
お金を節約したいと考えるのであれば、初期投資は必要ですが多少狭い庭でも自宅のドッグランは、長期的に見て出費を抑えることができます。
例えば、休日ドッグランを使う時: 大人一人あたり500円、一頭1000円なら、ご夫婦で行けば最低2000円かかります。
都市部のドッグランは高いのは、ドッグラン経営に必要な固定資産税も高いため。笑。
月1回で年間24000円、月に2回行こうと思えば48000円です。プラス、交通費や外食代、といった費用も必要になります。
お出かけは確かに楽しいですが、笑、自宅の庭をドッグランにする作り方を学んでお手軽に楽しめるなら、自宅ドッグラン、大いにありです。
6. まとめ
自宅をドッグランにするメリットは、飼い主も、愛犬もストレスフリーいつでも楽しめる点。
ただし、愛犬の生活全てが自宅の敷地内で完結することになると、社会化の訓練がおろそかになることも。
親戚や知人を招いたり、1日2回の散歩を日課に取り入れたり、自宅外の環境にも適応する訓練を欠かさないようにしてくださいね。