皆様は、ご家族が旅行するとき愛犬はどうされていますか?ペットホテルに預ける場合もありますが、今回は愛犬と一緒に旅行に出かけるときに必要な準備について解説します。犬を連れて旅行したいご家族が、まず旅行に出かける前に心得ること
・犬旅で必要なしつけとマナー
・犬と車で旅行する時の心得
・犬連れ旅行のストレス対策
・犬と旅行するときの持ち物
いずれも犬と旅行する前の予備知識として身に付けておくべき内容です。
犬と旅行が初めての飼い主さんにはきっと役立つ内容ですので、しっかり読んで楽しい思い出作りに生かしてくださいね。まずは犬旅行にしつけから解説します。
1. 犬旅で必要なしつけとマナー
1-1. 社会化の習得
非日常の世界が広がる旅先では、犬はもちろん飼い主さんも気分が高揚しますよね。
犬は新しい環境に遭遇し不安になると吠えるケースがあります。
旅行では、人混みの中を歩くこともありますよね。賑やかな場所では社会性が十分ではない犬の場合、過剰反応することもあり、旅行中の犬の無駄吠え抑制には社会化トレーニングが不可欠です。
社会化トレーニングとは、すこしずつ見聞を広げながら犬が人の生活環境に順応できるようにしつけること。社会性を持った犬は、人間社会の生活音に対してストレスを抱えたり、怯えたりしません。
とはいえ、社会化は一足飛びにできるものではありませんので、まず新しいことに少しずつ慣らすことが大切。
犬は、散歩コースを変更したり少し遠くまで歩いたりすることで、自然な流れで新しい環境に順応する機会が生まれますし、知らない人や他の犬に出会ことも犬の社会性向上に役立ちます。
一般的に、新しい環境や刺激への適応力は子犬の時期のほうが優れているといわれ、社会化の訓練も早めがおすすめです。
ワクチン接種を終えたら、まずはご近所の散歩から。
最初は見慣れない人や景色、音などに警戒してそわそわし、固まって歩くことができないケースもあり、抱っこ以外に初めて外を体験すると怯えて動けなくなる話はよくある話。なので心配しなくても大丈夫です。
まずは玄関先で遊ばせ、家の中にも逃げられるルートを作ってあげることで外と中の境界線を取り払ってあげましょう。
一方、社会化のトレーニングをはじめるのに遅すぎる年齢ということはありません。旅行は私たちも犬も新しい出会いの連続。社会化は不可欠なので、愛犬との旅行を計画したら今からでも少しずつ社会化訓練を始めるようにしてくださいね。
1-2. トイレのしつけ
旅行にお出かけすると、様々な制約が生じます。
慣れない環境におかれた上にいつもの生活リズムと異なることでストレスからトイレをしなくなったり、我慢できなくなって粗相をしたりすることも。
旅行中は、トイレに限らず飼い主さんの予期せぬことが起こるものだと思ってくださいね。
ともあれ、旅行に連れて行けるのは、最低限、トイレがきちんとトイレシーツに出来るようになってから。慣れないホテル内でのトイレの心配も半減しますし、ドライブ途中でトイレ休憩するときもシーツにできれば安心。
先々、犬とドライブ旅行を楽しみたいなら家のトイレを携帯式のトイレに替えてみては。
普段から使っていれば、旅先でも落ち着いてトイレができるようになりますよ。トイレも「慣れ」の世界です。笑。
1-3. ハウスのしつけ
ハウスのしつけとは、飼い主さんの指示でケージに出入りできるようになること。
犬がケージで安心して過ごすことができれば、旅先でも落ち着いて過ごせるようになります。
自宅で過ごす間、携帯用のクレートを休憩場所や寝床として利用する飼い主さんであれば、クレート、キャリーは愛犬にとっても落ち着ける場所。
ハウスのしつけができれば、にぎやかなロビーでのチェックインの時にもクレートに入れた状態で飼い主さんと一緒に行動することができますし、なにより愛犬にとっては飼い主さんがすぐそばにいるのは心強い限りです。
ただし、人馴れしていないと、無駄吠えの原因にもなりかねませんので、社会化の訓練も超重要であることは言うまでもありません。
2. 犬と車で旅行する時の心得
犬連れの旅行では、公共交通機関を使う場合より車を利用する飼い主さんが大多数。ここでは車での移動について説明します。電車で旅行する場合の注意事項は別の記事で取り上げました。
2-1. 車での移動に慣れさせること
犬と旅行するのに車を使う場合は、あらかじめ車での移動に慣れさせておく必要があります。車の慣れも犬の性格によってまちまち。社会化トレーニングと同様根気強く続けてくださいね。まずは短時間から。
車慣れを目指すなら、「車移動=楽しいこと」を連想させる習慣がおすすめです。例えば、ワクチン接種や、体調を崩した時の通院や、自由の利かないサロン行くために車を利用することが多いと、車嫌いになりかねません。
犬が自ら車に乗るようになるには、車での移動が楽しい思い出になるような機会が必要です。
実際、犬が車で移動する際に怯える、乗りたがらない、といった仕草を見せる原因として、嫌いな場所に連れて行かれる記憶が深く関係していることもあるのです。
例えば、10分~20分程度のドライブで行くことができるドッグランやすこし離れた広めの公園に連れて行く、あるいは、少し離れたドッグカフェまでお出かけすると、楽しい印象が残りますよね。車の移動が楽しい記憶と結びつけば早めになれることができます。
ただし、ドッグランへのお出かけは、他の犬や飼い主さんの迷惑にならないように基本的なしつけが終了してからです。詳しくは、ドッグランデビューの記事を確認してくださいね。
2-2. 小まめな休憩
犬が車に乗っている間のことを想像したことがありますか。車中では、トイレに行ったり、水を飲んだり食べたりすることもできません。狭い空間に長時間閉じ込められることは普段の生活ではありません。
車で移動する場合は、一気に目的地に行こうとせず、小まめにトイレやお散歩休憩を取ることが大切。高速道路のサービスエリアにはドッグラン付きの施設もありますので、目的地のルート上にあるドッグラン施設を事前に調べておくとトイレの心配も軽減されます。
とはいえ、必ずしも犬用のトイレがあるわけではありません。むしろドッグラン併設のサービスエリアは少ないです。
トイレは、駐車場の隅の静かに落ち着ける場所を確保したのち、トイレシーツを敷いて、用を足させてあげましょう。
2-3. 安全な車内環境づくり
車に乗るときに必ず着用するシートベルト。犬を乗車させる際にも安全には気を配りたいですよね。
車に載せるときは、
・普段から犬用のシートベルトを着用させる
・クレートにいれたら、動かないように固定する
・ドライブボックスやドライブベッドを活用する
など安全性をキープするためのアイテムは不可欠です。
ドライブボックスの中にはドライブベッド、キャリーとして兼用できるアイテムもあります。
デザインが豊富なドライブベッドならファミリールームに置いて普段の生活にも使えます。生活スタイルに合わせて選んでくださいね。
2-4. セーフティードライブ
言うまでもありませんが、愛犬を車に載せた場合は、急発進、急ブレーキは絶対避けてくださいね。
犬の場合、安全ベルトやドライブシートをしていても前のめりになりますし、場合によっては足を滑らせて転倒することも。
また、急発進、急ブレーキは怖い記憶になると車嫌いの原因になりかねません。
犬が乗車している場合はいつも以上に安全運転を心がけてくださいね。
3. 犬連れ旅行のストレス対策
犬犬と旅行するのが初めての飼い主が気を付けるべきことが愛犬のストレスです。
日程がてんこ盛りになり、犬がいても行程優先になる犬旅。
不規則な食事やトイレ、観光地の雑踏や騒々しい会話、長距離移動など、普段の生活では体験しない環境が犬にはストレスを招く原因になります。
3-1. 愛犬のストレス耐性を見極める
旅行に犬とお出かけするうえで最も大切なことは愛犬の健康。特に、犬のからだが丈夫ではなかったり、ストレスの症状が表れたりしやすい体質かどうか、歳とともに気力や体力が落ちるシニア犬は旅行中のストレスに要注意です。
旅行中は、狭い空間で長時間過ごすことも多く、ストレスなく落ち着けるように愛犬をトレーニングすることが大切です。クレート(ハウス)トレーニングが大切なことが判りますよね。
3-2. 普段と変わらない環境づくり
いつも過ごしている自宅は犬が最もリラックスできる環境。旅行に行く前には旅行に携帯するクレートに慣れさせることが先決です。
前章でも説明したように、普段から犬の旅行では、携帯用のトイレに慣れておくと旅先でのトイレも比較的スムーズになりますよ。車中だけではなく、ホテルでも、自宅に近いリラックスできる環境に近づけることがストレスフリーの近道です。
特に車から降りたあと、普段から過ごしているクレート、キャリーの中でリラックスできれば、移動も楽ですし、スムーズにチェックインも可能です。
部屋に着いてからも普段から使用しているクッションや毛布、おもちゃなどを持参すれば、普段に近い環境にしてあげることができますよね。
食事も、旅先の楽しみのひとつですが、毎食ホテルの犬ご飯というわけにはいきません。
折角注文しても食べ物が合わないこともありますので、普段食べているドッグフードも必ず持参してくださいね。
3-3. 犬が旅先で寝ない理由はストレスや興奮が原因
犬は普段と全く違う景色に出会うと刺激も多く、人と同じように興奮します。私たちも旅先で寝付けないことがあるように、犬も落ち着くことができないと、眠れずに部屋の中を歩き回ることがあります。
クレートは犬と外泊させるとき、普段の環境に近づけ落ち着かせるための必需品です。経験上絶対とは言えませんが、苦笑、普段使用しているクレートは犬旅でリラックス効果がありますので、是非持参してください。
3-4. 車でのストレス対策も忘れずに
車で長時間ドライブをするようなケースでは、車のストレス対策は必須です。大前提として犬が車内環境に慣れるようにトレーニングしましょう。
・車内の狭い空間に慣れること
・普段の生活にはない震動や揺れ、においといった車内環境になれること
・長時間の同じ体勢でいることに慣れること。少しずつ社内滞在時間を延ばすようにします。
飼い主さん側として気を付けること
・芳香剤は避ける(車内消臭を使用するときは無香料の消臭剤で)
・ラジオの音量は控えめに。慣れないとカーナビのアナウンスに驚くこともあります
・車内換気に気を付けて。狭い空間なので、通気性を良くしてあげること
・長距離ドライブ旅行なら小まめな休憩を
・急発進、急ブレーキ厳禁!安全運転で
3-5. 愛犬のストレスサインに気を付けて
いつもと違う環境に身を置く旅先では犬がストレスを抱えることも稀とは言えません。怯えて座り込んで動かなくなる、あくびが頻繁に出るのは、典型的なストレスサインです。
長期旅行ではない限り一時的なことですが、体調を崩すと下痢症状が出ることもあります。
折角の楽しい旅行が台無しになりかねませんので、ストレスを甘く見ずに兆候が表れたら早めの対処です。
また、犬が急に体調を崩しても慌てないように、旅行先の動物病院の所在地もチェックしておくと万全です。
4. 獣医さんへの健診
犬と旅行に行くなら、健康状態も万全を期すべき。
4-1. 健康状態チェック
旅行が決まったら獣医さんに健康状態を見てもらうことをおすすめします。
犬と一緒に旅行するときに気を付けるべき点なども適切にアドバイスしてもらえますし、旅行中の散策で必要なダニ駆除や移動での車酔い防止のお薬を処方してもらうこともできますよ。
4-2. 抗体検査も安心材料
旅行の時期と年に一度の健診が近ければ抗体検査を実施する良い機会です。
ワクチンは徐々に効果が薄れてきますので、抗体の有無をチェックすることでブースター注射を受けるかどうかを判断することができますよね。混合ワクチンを受けたから大丈夫、とも言えませんので、行ったついでに抗体検査はしておくことをおすすめします。
5. 犬連れ旅行時の持ち物
犬同伴で旅行するときには、犬用のグッズが必要になります。
手荷物もミニマムに抑えたいとはいえ、必需品もあります。笑。
ここでは、犬同伴旅行の持ち物で「必需品」のアイテムと「あれば便利」のアイテムに分けて説明します。
5-1. 犬と旅行時の必需品
・ワクチン接種証明書
滞在先のホテルで要求されます。犬連れ旅行の必需品です。
・トイレシーツ、衛生バッグ、おしりふき用ティッシュ
言われなくても必需品ですよね。
・マナーパンツ、オムツ
ルーム内での粗相防止にはマナーパンツと滞在日数分のオムツが必需品。
ドッグカフェやドッグランが併設されているペットホテルでも、利用するときはマナーパンツ着用が要求される場所もあります。マナーパンツは100%旅行を楽しむには必須です。
・リードと首輪(ハーネス)
旅先でも一緒に行動するならリードは必需品です。
普段は首輪のケースが多いと思いますが、犬旅行が初めてなら興奮するケースも考えコントロールしやすいのはハーネスをおすすめします。
・タオルx2
ホテルのタオルは飼い主さん用。愛犬用は持参します。
汚れたときのからだ拭き用(フェイスタオルサイズ)、替えも含めて2つ。
・いつものドッグフードとおやつ
旅行日数分の食料やおやつをフードコンテナに入れて持参しましょう。
・普段使用している給水ボウル、フードボウル
いつも使っている物。愛犬が安心できるアイテムです。
・給水ボトル
普段お散歩に持ち歩いているもので可。マナー用にも使えます。
・お気に入りのおもちゃ
2つぐらいは持参したほうが良いです。
5-2. 犬と旅行時の便利アイテム
・携帯用のトイレ
犬用トイレ携帯用も役立ちます。
とはいえ、犬用の携帯トイレは旅行へ行くために慌てて買うものではありません。大切なのは普段から使用していること。いつもと同じトイレなら犬もいつもと同じ気持ちで用を足せるアイテムです。
犬と旅行する計画があれば事前に購入し、部屋や庭で使い慣れしておきましょう。
・ボロ
ペットホテルでは、ソファもひっかき傷になりにくい素材を使用していることが多いですが、古いタオルやシーツを部屋の調度品カバーにすれば、キズを防止することができます。
・消臭スプレー
粗相対策で万が一の対策として
・乗り物酔い薬、ノミ・ダニ対策用のお薬
車での移動が慣れているとはいえ、犬が長距離ドライブをするにあたり、何があるかわかりませんので、あれば安心といったところです。
自然が楽しめる場所では、ノミやダニも大敵。駆除するお薬の種類によってメリット、デメリットがありますので、動物病院で処方してもらうのがおすすめです。
・写真
同行する犬の写真を持参して備えると万が一、脱走したり、行方不明になったときなど、ホテルに迷子犬の依頼を掛けるときに安心です。
・レジャーシート、ブルーシートなど、大きめのビニールシート
トイレシーツの下や食事の場所に敷いておくと汚れ防止になります。
・大きめのエチケットブラシ、コロコロ
ストレスで異様に抜け毛が生じるケースがあるので、チェックアウト時の後始末には便利なアイテムです。
6. まとめ
犬と一緒に旅行するために必要な「マナー」「心の準備」「持ち物」について説明してきました。ですが、もっともも重視すべきなのは、愛犬の心とからだの健康です。
必要な社会化のトレーニングが進まないこともありますし、性格的にストレスを溜めこみやすい犬もいますが、犬と旅行するのはこれらを克服してから。
無理に犬を連れて行き、旅先で体調を崩してしまったら、犬も飼い主さんも旅行を楽しむことができないですよね。
飼い主さんが判断して犬と旅行するのが難しいと思ったらペットシーターや愛犬に慣れた知人や親せきにお願いする、ペットホテルに預けるといったことも検討したほうが良いかもしれません。
犬と初めての旅行では、愛犬の様子を見ながら獣医さんともよく相談して決めてくださいね。